||↓||||||||||||||||||||Hymer(1960)寡占的優位論1960s1970sDunning(1979)折衷理論(OLI理論)1980sRugman(1981)内部化理論1990sBrainard (1997)近接集中仮説2000sMelitz (2003)生産性と輸出2010s優位性の活用先進国の視点Weber(1909)工業の立地論Vernon(1966)プロダクトサイクル論Helleiner(1973)企業内の国際分業Kojima(1973) (1979)産業の比較優位論Porter (1990)競争的発展の段階論Ozawa (1992)要素賦存比率の変化Helpman et al. (2004)生産性とFDI費用の最小化投資の発展経路国際化の段階説Johanson & Vahine (1977)ウプサル・モデルDunning (1979)投資発展経路(IDP)Ozawa (2005)部門別の投資発展経路Ito & Nakajima (2021)企業間取引ネットワークとFDI発展途上国の視点Lall (1981)技術の局地化理Wells (1983)小規模技術理論Cantwell (1989), Tolentino (1993)技術革新と産業高度化の理論継承した論点薄い関係異なる論点出所:筆者作成。図1 国際投資理論の系譜41な優位性が重要であることを強調した。彼の研究成果によって、国際投資理論は資本移転論から産業組織論へと大きく展開した。次に、ダニング(Dunning)の折衷理論(OLIパラダイムとも言う)はハイマーの優位性命題に共通し、進出先の現地企業と競争するための優位性を所有の優位(O)、立地の優位(L)と内部化の優位(I)の3つに分類した。所有の優位とは、特許、技術、海外展開の経験、製品の開発能力等の無形資産を指す。一方、立地の優位とは、需要が大きく成長の見込みがある消費市場の存在、天然資源、必要な原材料、有能な人的資源を確保できる場所、安定的な政治と法制度等を意味する。さらに、内部化の優位とは、生産活動や販売活動等の企業間取引を企業内取引に置き換えることである。ダニングはまた企業が持つ優位性の違いにより、海外への進出形態が異なることを提示した。続いて、ラグマン(Rugman)の内部化理論は、市場の不完全性(市場の失敗)に着目した。多国籍企業は海外直接投資を行い、海外での生産活動や販売活動を内部化することにより、外部市場の不完全性を克服することができる。ラグマンが言う市場の不完全性は、技術や知識の不足といった自然的な不完全性と、自由貿易の障壁といった人為的な不完全性であるが、とりわけ中間財市場の不完全性が多国籍企業の直接投資を促すという。
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