多国籍企業研究第16号
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①②③④⑤−②’②と同様③’③と同様④’④と同様⑤’⑤と同様②’’②と同様③’’③と同様④’’④と同様⑤’’⑤と同様②’’’②と同様③’’’③と同様④’’’④と同様⑤’’’⑤と同様ステップエスニック市場へ参入(狭域のエスニック市場)(買収により)メインストリーム市場へ拡大広域のエスニック市場へ浸透新メインストリーム市場への拡大新メインストリーム市場の商圏でエスニック市場へ浸透エスニック・マーケティングを活用した海外市場参入から市場全体攻略へ      ― Grupo Bimbo社による買収した経営資源を活用した米国市場攻略 ― 杉村 亮介図表2 ビンボ社の米国市場全体の攻略ステップ段階活用した買収先企業リソース(大分類)既存経営資源の活用本国での製品ブランド新規経営資源の獲得既存経営資源と新規経営資源の活用既存経営資源と新規経営資源の活用既存経営資源と新規経営資源の活用②と同様③と同様④と同様⑤と同様②と同様③と同様④と同様⑤と同様②と同様③と同様④と同様⑤と同様27主要リソース(小分類)・現地流通網・現地プレゼンス力・本国での製品のブランド・現地流通網・現地プレゼンス力・(買収先の)現地製品ブランド・高度な流通オペレーション能力・本国での製品のブランド・拡大された現地流通網・拡大された現地プレゼンス力②と同様③と同様④と同様⑤と同様②と同様③と同様④と同様⑤と同様②と同様③と同様④と同様⑤と同様(出所)筆者作成ステップ①は、米国のメキシコ系エスニック市場への参入段階である。ビンボ社のメキシコブランド製品を(配合を変えずに)輸出することからはじまった。メキシコ系エスニック市場向けのビジネスはメキシコ系住民には支持されたが、ビンボ社のメキシコブランド製品のみで事業を展開するという戦略は失敗に終わり、ヒスパニック系住民だけに限定するのではなく、米国市場で知られているブランドを使うために方針の変更が不可欠だった(Lázaro, 2010, p.35)。狭い商圏内のエスニック市場の規模では、採算の取れるビジネスに成らなかった。そのため、ビンボ社は戦略の方向転換を図り、現地企業の買収へと舵をきった。ステップ②は、現地の優良メーカー、ベアード社の買収によりテキサス州のメインストリーム市場をそのまま手に入れるとともに、新しい経営資源として、「現地流通網」と「現地プレゼンス力」を手に入れた。ステップ③は、新しく獲得した経営資源を活用し、広域のエスニック市場へ浸透していく段階である。既存の経営資源である「本国での製品ブランド(ビンボ社のメキシコブランド)」と新規獲得した経営資源の「現地流通網」との組み合わせにより、新規流通ルート及び新規販路を構築した。さらに、買収先の優良メーカーが持Mrs. Bairds社Weston社の米国西部のパン事業Weston社の米国東部のパン事業Sara Lee社のベーカリー事業

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