(1)日系電子部品・材料メーカーとのインテグラル化液晶技術を用いた中間財企業の製品プラットフォームの構築プロセス 千島 智伸84.分析第3段階は、対象企業のインタビューを行い、その結果として得られた内容とキーワードに即しSQに対する命題を抽出する。第4段階で、複数抽出した命題間の関係を考慮し、その事実が生じる因果メカニズムの構築を目指す。この時、命題の背後にある因果関係が成立した条件を抽出し、その理由について含意の検討も行う。本研究の対象であるSDCは、大型液晶パネル(以下,大型LCD)を生産する機能を持ち、セットメーカーの仕様(要求)に応じたパネルを提供する能力を有している。半導体製造装置協会によれば、「一般的に液晶パネルは世代毎の区分が大きさを意味し、10インチ以下のサイズが小型と認識されている。一方、中・大型は11インチ以上で、その中で32インチ以上を大型」と定義している。液晶パネルの製造工程は、「大型化と高精細化を追求し、液晶材料の応答遅延による動画時のブレや、フレーム補間を制御する半導体とソフトウェアの両面から鮮明度を調整する。このような材料と部品回路をつなぐ工程はアレイ工程と呼び、製造プロセスでは複数の企業と協業することになる。液晶パネルを中心とした製品プラットフォームの形成に対し、インテグラル化とモジュール化はどのように影響したかについては、液晶パネルの開発で電子部品・材料メーカーと技術をすり合わせ、どのように連携し製品化したかをインタビューで詳細に確認した。また、製造した液晶パネルを供給するセットメーカーとは生産規模を高め不要に発生するコストを抑制するなどの工夫も必要となる。つまり、製品機能における技術を中心とする製品差別化としてのインテグラル化と、製品供給量を高めることに繋がるモジュール化にそれぞれどう取り組んだか、またこれらは結びついているか、次項がその結果である。液晶TVの生産は、液晶パネルを構成する電子回路や液晶材料を組み合わせるセル工程と、パネルから完成品をつなぎ組立てるモジュール工程に分かれている。セル工程では、映像処理回路と駆動回路があり、独特の画作りを実現する回路の中に高度な電子部品(半導体)が集積している。パネルメーカーが部品や材料の特性を見分け互いに試行錯誤しながらテストを進め改善と修正を繰り返すので、精度を高めるには時間がかかることになる。たとえば、図3は、液晶パネルを使う完成品の階層構造である。
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