多国籍企業研究第16号
10/78

(3)先行研究と本研究の関係液晶技術を用いた中間財企業の製品プラットフォームの構築プロセス 千島 智伸(筆者作成)図1 本研究の中で関係する先行研究の位置づけ63.分析手法(1)インタビュー概要必要とされる能力を企業が所有することが関係する。液晶パネルの製品競争力に関係する既存研究では、このような視点で分析した例がないため、次のようなSQを設定する。SQ2: 同業種間による製品市場の拡大を目的としたアライアンスで、パネルの開発や生産規模の拡大が認められるが、どのようなプロセスで推進し、如何なる効果を獲得したのか?先行研究のレビューを通じ、本研究は製品差別化とコスト優位の両立に加え、競争力の高い製品を開発したプロセスと、複数の製品群に共通して用いられる基盤技術を含む製品プラットフォームの構築プロセスを抽出することが、先行研究との違いである。先行研究と本研究の関係を示したものが、図1である。本研究は5社・各1名にインタビューを行った。インタビューの概要は表1で、SDCと取引関係にある2社(硝子メーカー・フィルムメーカー)の部材メーカーには、液晶パネルの設計活動に関するプロセスを確認した。具体的には、①液晶パネルの開発で製品機能を高めるために工夫したこと、②顧客となる企業に対し提供できた価値をどう考えるか、③自社の製品開発マネジメントについてである。アライアンス締結に関わったSONY(経営企画部)とSDCパネル設計部門の常務には、アライアンスによって実際に得られた効果と液晶パネル開発のプロセスについて確認を行った。インタビューは2時間程で、質問事項に対する回答内容に応じて追加・補足の質問を重ねる形式を採用した。得られた情報をカテゴリー分類し、これをもとに要因と結果の関係性を考察した。

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る