多国籍企業研究14・15合併号
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+5℃、-l0℃、-20℃の3温度帯に設定可能-30℃〜+30℃の任意の温度帯で、0.1℃単位で温度設定可能空気の循環と貨物積載の高さに制限があり、多種の貨物混載の際の設定に制約。出5(出典:農林水産省「農林水産物・食品輸出の手引き」(2016年)を基に筆者作成)名称リーファー・コンテナ(冷凍・冷蔵コンテナ)提供企業海運会社から荷主に貸実績品目食品、化学品など特徴海上コンテナ+冷蔵ユニット温度設定効果課題コスト表2 鮮度保持を目的としたコンテナの例低い青果品、花卉類全般生鮮・食料品全般リーファー・コンテナ+加湿+ガス温度・湿度設定/エチレンガス分解湿度保持とエチレンガスの除去と分解により鮮度保持通常のリーファー・コンテナの活用が可能。似通った貨物でないと鮮度の維持が困難。混載に課題。中高い航空コンテナ+冷蔵ユニット温度設定従来の冷媒梱包に比較して、高品質な保冷効果。高いことで、多国籍企業化が促進された。さらに、今日の食肉、果実、水産物の日常的な国際間輸送は、1960年代から70年代に浸透した貨物のユニット化輸送方式である「コンテナ輸送(コンテナリゼーション)」が担っている。特に、海上コンテナに冷蔵・冷凍用のリーファー機器を組み込むことで、冷凍・冷蔵など任意の温度設定が可能なリーファー・コンテナ(reefer container)が開発されたことが、グローバルな取引機会の拡大に貢献している。また、日本の旬に店頭や食卓に並ぶうなぎ、アメリカンチェリー、ロブスター、ボジョレーヌーボーなどの食料は、航空貨物輸送による高品質なサービスによって可能になった。表2にまとめたように、最近では温度管理が可能な通常のリーファー・コンテナに加えて、湿度の管理、空気の組成を変化させることや、湿度調整と熟成を促すエチレンガスの分解と除去などにより、生鮮品のより長期間の鮮度維持を可能にする特殊なコンテナ(CAコンテナ、NECK’Sなど)も実用化されており、生鮮品の更なる輸出促進に寄与していると考えられる。表3では、通常の海上コンテナ(dry container)とリーファーコンテナを使用した際の博多港から香港までの貨物輸送に要する海上運賃の比較を例として挙げている。海上輸送運賃は、海運企業の提供するサービス形態の違いにより、また季節的な変動や市場の需給関係を反映させた市況によって大きく変動するが、通常の海上コンテナに比して、リーファーコンテナの運賃が3割から6(Controlled Atmosphere)日本郵船/株式会社MTIアボガド、バナナ、アスパラ、いちご、葉物野菜などリーファー・コンテナ+空気組成温度・湿度設定/酸素濃度設定酸素(O2)及び二酸化炭素(CO2)の空気組成を長期貯蔵用に設定適正な貯蔵温度と酸素濃度の把握と適用が必要。多種の貨物混載の際の設定に制約。CAコンテナ(NE Cool Keeping System)日本通運株式会社NECK’SNEX-FOODフレッシュ・コンテナ(生鮮・食料品専用航空コンテナ)日本通運株式会社

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