多国籍企業研究14・15合併号
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九州農作物通商株式会社 https://www.fukuoka-apt.com (2021年10月10日確認)九州農水産物直販株式会社 http://www.kyushu-amp.com (2021年10月10日確認)後藤孝夫(2020)「農水産物輸出における港湾の役割と課題」『経済学論叢』中央大学第60巻第3・4合併号日本貿易振興機構 農林水産・食品部(2020)「JETRO品目別レポート(いちご)」https://www.jetro.go.jp/ext_images/industry/foods/item/4.pdf (2021年9月10日確認)農林水産省「農林水産物・食品の輸出に関する統計情報平成12年から令和3年」農林水産省(2016)「農林水産物・食品輸出の手引き〜国際輸送の鮮度維持技術・事例を中心に」農林水産省(2019)「令和元年度生産農業所得統計」参考文献石塚哉史・神代英昭編著(2013)『我が国における農作物輸出戦略の現段階と展望』筑波書房九州経済産業局(2018)「輸出向け農産物開発・ブランド化に向けたアジアでの実態調査事業報告書」13制をクリアしながら、魅力的な商品として店頭に並ぶことを意識することである。そのためには、輸出業者のみならず産地においても、サプライチェーンからパッケージまで、輸出仕様の対応が求められる。国内で開発された野菜や果物が、おいしさや安全性、見栄えの良さなどの高い品質による圧倒的な競争優位性を維持できる期間は短く、近隣諸国からも同種の商品が、その格差を埋めながら低価格で輸出されている。これらの競合商品との間で価格競争に陥ることを避けるためには、安定的な独自の販売チャネルの設定も必要になる。同時に海外での種苗の品種登録や経済協定の中での対象とすることで、独自に開発された知的財産を模倣から保護する取り組みも急務であると考える。商品のブランド化とブランド登録も同様である。従来の多くの日本製の商品が、高価格・高品質で富裕層を対象としてきたとすれば、中国などでの所得水準が急速に高まる中で、価格と共に安全性や品質を選好するより広い層を対象とした販売に、対象を広げることが可能になる。サプライチェーンの効率化と安定化を通して、如何に低コストで現地までの配送が実現できるのか、鮮度を維持しながら破棄率を下げられるのかをさらに模索することで、高価格から適切な価格での販売が目指されることが考えられる。国内各地では優れた品質の果物や野菜などの農作物が開発されており、それらのブランドが店頭で競うように販売されている。今後国内市場が確実に縮小していく一方で、近隣諸国では購買力のある層の人口が増加していくことは明らかである。日本からの農作物等の輸出には、従来からの意識の転換を伴う「攻め」の戦略の構築と、産地から店舗に至るサプライチェーンの各段階と機能の見直しが急務であると思われる。既に先進的な取り組みの事例や効率化の手法は、国内各地でも見られる。海外の食料依存率が極めて高い中で、農林水産物貿易において、10倍近くの圧倒的な輸入超過の状態を解消するためだけではなく、国内に農業を維持していくためにも、海外市場の本格的な参入は重要な課題である。https://www.kyushu.meti.go.jp/report/180531/180531_report.pdf (2021年8月14日確認)https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/nougyou_sansyutu/#r (2021年10月9日確認)

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