多国籍企業研究14・15合併号
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海上運賃ターミナル・ハンドリングチャージB/L作成料・その他費用合計(A社)合計(B社)表3 博多港から香港までの海上運賃(コンテナあたり)図2 農作物輸出のプロセス620ft Reefer43,916円42,000円4,941円90,857円115,738円(2021年6月14日、海運会社2社A社・B社の聞き取りから筆者作成)20ft DRY21,958円33,000円3,294円58,252円72,273円40ft DRY43,916円48,000円6,587円98,503円122,077円40ft Reefer65,874円60,000円9,881円135,755円153,651円割程度高いことがわかる。生鮮品の輸送には、通常の貨物と比べて、鮮度維持のためによりきめの細かい温度管理が求められることから、高い輸送運賃が設定されている。また、前述のCAコンテナ、NECK’Sなどの高機能リーファーコンテナ使用の際には、さらに輸送コストが高くなることになる。これらの数々の物流のイノベーションの結果、国内においても農作物が栽培される地域から、遠隔地の市場に向けての出荷が可能になり、その市場の選択肢の一つとして、海外も視野に入れた取り組みが行われるようになってきている。国内で収穫された農作物の海外への輸出は、以下のようなプロセスで行われる。生産者から消費者に至るサプライチェーンには、農作物自体の移動や保管と共に、通関、検疫、農薬検査など様々な手続きや検査が求められるために、途中に多くの専門業者が介在することになる。また、図2に示す通り、生産者自身が直接に輸出に向けた出荷に関わることと比較して、輸出業者が市場から仲買人を通して農作物を調達して輸出する場合には、出荷から市場に並ぶまでの間にさらに時間を要することになる。その結果、販売までの鮮度を維持することが困難になり、破棄率の上昇を招くなどのリスクが高まることになる。

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