多国籍企業研究13号
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5日本の大学で学ぶ外国人留学生の「就職問題」に関する研究      ― 大学のキャリアセンターへのアンケート調査に基づいて ― 古沢 昌之(2)外国人留学生の「就職状況」「留学生30万人計画」では、目標の達成に向けて、入試・入学・入国といった入口の改善から、大学等の教育機関や社会における受け入れ体制の整備、卒業・修了後の就職支援等に至るまで幅広い施策を展開していく旨が謳われている7。そこで、同計画の出口戦略とも言うべき留学生の「就職状況」について考察する。① 「進路」に関する状況まず、日本学生支援機構(2019b)の調査から留学生の進路希望について見ておこう。同調査は私費留学生の中から無作為に7,000人(大学・大学院での研究生・聴講生を含む)を抽出して実施したものである(有効回答数=5,704人、回収率=81.5%)。「卒業後の進路希望」は「日本で就職」が64.6%に達し、「日本で進学」(51.5%)が続いた(選択肢の中から希望順に3つまで回答可)。3番目に多かったのは「出身国で就職・起業」で18.4%、以下「日本で起業」(10.6%)、「日本・出身国以外で進学」(6.2%)となっている8。その中の「日本で就職」を選択した割合を在学段階別で比較すると、「短期大学」(82.5%)、「専門職大学院課程」(76.9%)、「専修学校」(75.9%)、「大学院レベルの研究生」(75.6%)、「学部レベルの研究生・聴講生」(72.5%)、「学部正規課程」(70.5%)で比較的高い数値が示される一方、「日本語教育機関」ではそれが49.5%に留まり、「日本で進学」(82.8%)が圧倒的多数であった。では、留学生の実際の進路はどうなのか。日本学生支援機構(2019c)によると、高等教育機関の2017年度卒業・修了者(50,054人9)の進路は、比率が高い順に「日本で就職」=32.4%、「日本で進学」=29.7%、「出身国で就職」=8.7%であった(「その他」が27.7%)。このうち「日本で就職」について、在学段階別の状況を見ると、「博士課程」=22.9%、「修士課程」=32.6%、「専門職学位課程」=34.7%、「大学(学部)」=40.5%、「短期大学」=51.9%、「高等専門学校」=4.1%、「専修学校」=32.1%、「準備教育課程」=4.3%と大きな差異が認められた10。さらに、上記の中で「日本で就職」の比率が最も高かった「大学(学部)」の状況を専攻区分別に比較すると、「社会科学」では「日本で就職」が43.2%と高く、「日本で進学」が13.7%に留まる一方、「工学」では各々34.5%・36.4%となり、進学が就職よりも多いことが分かる。 7 注2ご参照。8 日本学生支援機構(2019b)が第1位の項目(最も希望する進路)に3点、2位=2点、3位=1点のウェイトを付けてポイント化したところ、ポイントシェアは「日本で就職」が42.5%でトップとなり、「日本で進学」(34.0%)、「出身国で就職・起業」(9.4%)が続いた。9 高等教育機関の卒業・修了者の総数は51,636人であるが、うち1,582人は進路が不明となっており、就職率等の計算からは除外されている。10 ちなみに日本語教育機関卒業者(48,921人:「進路不明」を除く)のうち「日本で就職」は6.0%に留まり、「日本で進学」が8割近く(79.6%)を占めている。

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