多国籍企業研究13号
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3日本の大学で学ぶ外国人留学生の「就職問題」に関する研究      ― 大学のキャリアセンターへのアンケート調査に基づいて ― 古沢 昌之① 留学生数の推移留学生30万人計画が策定された2008年の留学生総数は123,829人であったが、前述のとおり、2018年には298,980人に達した(日本学生支援機構,2019a3)。その間、東日本大震災の影響で前年比減となった2012年を除き、留学生総数は一貫して増加を続けている(表1)4。(表1)わが国で学ぶ「外国人留学生数」の推移(人)年留学生総数うち高等教育機関うち日本語教育機関うち私費留学生2008123,829123,829調査対象外111,2252009132,720132,720調査対象外119,3172010141,774141,774調査対象外127,9202011163,697138,07525,622150,5382012161,848137,75624,092149,1922013168,145135,51932,626155,6172014184,155139,18544,970171,8082015208,379152,06256,317195,4192016239,287171,12268,165226,1242017267,042188,38478,658254,1162018298,980208,90190,079285,824(出所)日本学生支援機構(2019a)より筆者作成。② 留学生の内訳2018年の留学生の内訳を見ると、男女比は「男性」=55.9%、「女性」=44.1%である。また、「私費留学生」が285,824人と圧倒的に多く、95.6%を占めている。その比率は2008年には89.8%であったことから、私費留学生の割合が上昇している様子が窺えよう(日本学生支援機構,2019a)。教育機関別では、「日本語教育機関」が最多で90,079人(構成比30.1%)、続いて「大学の学部・短期大学・高等専門学校」(87,806人、29.4%)、以下「専修学校(専門課程)」(67,475人、22.6%)、「大学院」(50,184人、16.8%)、「準備教育機関」(3,436人、1.1%)となっている。日本語教育機関で学ぶ学生が留学生にカウントされるようになった2011年から直近(2018年)までの状況を見ると、日本語教育機関の留学生数は3.5倍になっており、学部・短大・高専(1.2倍)、専修学校(2.6倍)、大学院(1.3倍)、準備機関(2.1倍)と比べて伸びが大きいことが分かる。留学生30万人計画の達成は日本語学校生の急増によるところが大であると言えよう(日本学生支援機構,2019a)。3 日本人学生支援機構(2019a)では、留学生を「『出入国管理及び難民認定法』別表第1に定める『留学』の在留資格(いわゆる『留学ビザ』)により、わが国の大学(大学院を含む)、短期大学、高等専門学校、専修学校(専門課程)、わが国の大学に入学するための準備教育課程を設置する教育施設及び日本語教育機関において教育を受ける外国人学生」と定義している。また、これら教育機関のうち、日本語教育機関以外を「高等教育機関」と呼んでいる。4 日本語教育機関で学ぶ学生は「留学」「就学」の在留資格の一本化に伴い、2011年以降に「留学生」としてカウントされるようになった。本文でも後述するように、留学生数増加の背景には、こうした事情も影響しているものと考えられる。

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