多国籍企業研究13号
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34日系企業の海外事業におけるコントロール・メカニズム― 内部化理論と公的なコントロール・メカニズムに焦点を当てて ― 山内 利夫、立本 博文(2)検証対象企業本研究は、日本の全上場企業のうち、企業財務情報データベース「SPEEDA」により平均連結売上高および平均海外売上高成長率を取得できた500社(製造業429社、非製造業71社)を対象とした。なお、本研究では、対象企業を、海外売上高を20年以上開示していることから海外事業を継続的に営んでいる企業とみなし、「海外長期操業企業」と称する。(3)検証の結果図表3は、海外長期操業企業をマジョリティ出資会社の割合により5%刻みで区分し(図表中の数値は区分の下限値。例えば「50%」は50~54%の区分であることを示す)、各区分の累積連結売上高経常利益率のレンジ、中央値および平均値を箱髭図により示したものである。累積連結売上高経常利益率が30%超および-10%未満の範囲は特異点として表示していない。また、45%未満は該当企業が存在しないため表示していない。図表4は、図表3と同様にマジョリティ出資会社の割合の各区分の20年間平均海外売上高成長率を示したものである。理論的にはマジョリティ出資会社の割合が高いほど高業績であると予想されるが、図表3・図表4をみると必ずしも通説の通りではない。収益性はマジョリティ出資会社の割合が70~74%、成長性は同60~64%を底として、割合が高くなるにつれ、中央値・平均値ともにやや上昇している。これらの事実は「強い公的なコントロールが高業績を導く」という通説を裏付けている。しかしながら、マジョリティ出資会社の割合が100%となると中央値・平均値ともに低下する一方、55~59%の企業群は収益性・成長性の中央値・平均値が比較的高い。図表5は、マジョリティ出資会社の割合の各区分の企業数を示している。先述の通説に合わない図表3 マジョリティ出資会社の割合と収益性(2012/2016年度)図3は、海外長期操業企業をマジョリティ出資会社の割合により5%刻みで区分し(図中の数値は区分の下限値。例えば「50%」は50~54%の区分であることを示す)、各区分の累積連結売上高経常利益率のレンジ、中央値および平均値を箱髭図により示したものである。累積連結売上高経常利益率が30%超および-10%未満の範囲は特異点として表示していない。また、45%未満は該当企業が存在しないため表示していない。図4は、図3と同様にマジョリティ出資会社の割合の各区分の20年間平均海外売上高成長率を示したものである。 理論的にはマジョリティ出資会社の割合が高いほど高業績であると予想されるが、図3・図4をみると必ずしも通説の通りではない。収益性はマジョリティ出資会社の割合が70~74%、成長性は同60~64%を底として、割合が高くなるにつれ、中央値・平均値ともにやや上昇している。これらの事実は「強い公的なコントロールが高業績を導く」という通説を裏付けている。しかしながら、マジョリティ出資会社の割合が100%となると中央値・平均値ともに低下する一方、55~59%の企業群は収益性・成長性の中央値・平均値が比較的高い。 図5は、マジョリティ出資会社の割合の各区分の企業数を示している。先述の通説に合わない企業群の頻度を確認すると、マジョリティ出資会社の割合が100%である企業群は143社であり、今回のデータ(対象500社)の28.6%を示している。一方、マジョリティ出資会社の割合が低い55~59%の企業群は7社であり、1.4%にとどまっている。 図3 マジョリティ出資会社の割合と収益性(2012/2016年度) (出所)SPEEDAをもとに筆者作成。 ー:中央値×:平均値()(出所)SPEEDAをもとに筆者作成。

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