多国籍企業研究13号
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33日系企業の海外事業におけるコントロール・メカニズム― 内部化理論と公的なコントロール・メカニズムに焦点を当てて ― 山内 利夫、立本 博文れる。企業はそのうち連結決算に含まれる「連結子会社」の数を有価証券報告書において開示している。また、「グループ会社」は連結子会社以外の会社、すなわち「非連結子会社」および「関連会社」を含む。両者はわが国会計計算規則により「持分法適用会社」として分類され、企業はその数を有価証券報告書において開示している。以上から、式[1]の変数を開示情報の分類に置き換えると計算式は[2]の通りとなる。ⅱ.業績指標内部化により不確実性への逐次的対応が容易となることで事業が安定的に成長し、取引コストの低減は収益性向上に貢献すると考えられる。本研究では、業績指標として成長性と収益性を採用した。成長性は連結売上高および海外売上高の20年間平均成長率を、収益性は累積連結売上高経常利益率をそれぞれ用いた。計算式は以下の通りである。[3]および[4]においては、特殊事情による連結売上高および海外売上高の変動の影響を除去するため、1992年度から1996年度まで、および2012年度から2016年度までの5カ年の平均連結売上高および平均海外売上高を算出した上で平均成長率を計算した。[5]においても、特殊事情による連結売上高および連結経常利益の変動の影響を除去するため、5カ年の累積連結売上高および連結経常損益をもとに計算した。なお、マジョリティ出資割合が高い企業とマイノリティ出資割合が高い(マジョリティ出資割合が低い)企業の収益性を比較する際には連結経常損益によるのが妥当と考えられる。連結経常損益にはマイノリティ出資先からの受取配当金や持分法投資損益が含まれており、マイノリティ出資先を含むグループ全体での「活動の儲け」を捕捉することが可能となる。9 グループ会社数 「マジョリティ出資会社」は、わが国の会社法および会計基準において「子会社」として分類される。企業はそのうち連結決算に含まれる「連結子会社」の数を有価証券報告書において開示している。また、「グループ会社」は連結子会社以外の会社、すなわち「非連結子会社」および「関連会社」を含む。両者はわが国会計計算規則により「持分法適用会社」として分類され、企業はその数を有価証券報告書において開示している。以上から、式[1]の変数を開示情報の分類に置き換えると計算式は[2]の通りとなる。 マジョリティ出資会社の割合 = 連結子会社数連結子会社数+持分法適用会社数 [2] [2]ii. 業績指標 内部化により不確実性への逐次的対応が容易となることで事業が安定的に成長し、取引コストの低減は収益性向上に貢献すると考えられる。 本研究では、業績指標として成長性と収益性を採用した。成長性は連結売上高および海外売上高の20年間平均成長率を、収益性は累積連結売上高経常利益率をそれぞれ用いた。計算式は以下の通りである。 20年間平均連結売上高成長率=(2012年度から2016年度までの平均連結売上高1992年度から1996年度までの平均連結売上高)119−1 [3] 20年間平均海外売上高成長率=(2012年度から2016年度までの平均海外売上高1992年度から1996年度までの平均海外売上高)119−1 [4] 累積連結売上高経常利益率=2012年度から2016年度までの累積経常利益2012年度から2016年度までの累積連結売上高 [5] [3]および[4]においては、特殊事情による連結売上高および海外売上高の変動の影響を除去するため、1992年度から1996年度まで、および2012年度から2016年度までの5カ年の平均連結売上高および平均海外売上高を算出した上で平均成長率を計算した。 [5]においても、特殊事情による連結売上高および連結経常利益の変動の影響を除去するため、5カ年の累積連結売上高および連結経常損益をもとに計算した。なお、マジョリティ出資割合が高い企業とマイノリティ出資割合が高い(マジョリティ出資割合が低い)企業の収益性を比較する際には連結経常損益によるのが妥当と考えられる。連結経常損益にはマイノリティ出資先からの受取配当金や持分法投資損益が含まれており、マイノリティ出資先を含むグループ全体での「活動の儲け」を捕捉することが可能となる。 (2)検証対象企業 本研究は、日本の全上場企業のうち、企業財務情報データベース「SPEEDA」により平均連結売上高および平均海外売上高成長率を取得できた500社(製造業429社、非製造業71[3][4][5]

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