15日本の大学で学ぶ外国人留学生の「就職問題」に関する研究 ― 大学のキャリアセンターへのアンケート調査に基づいて ― 古沢 昌之それ以外=0」として変数化)。また、「偏差値」は河合塾グループが発表している数値を用いた20。分析の結果、「日本人学生の就職率」と「留学生限定で実施の就職支援施策」が留学生の就職率にプラスの影響を与えることが明らかとなった(表8:各々0.1%水準・5%水準で有意)。一方、独立変数の中の「留学生の就職支援担当者の配置」及び「日本人・留学生の区別なく実施の就職支援施策」は有意な影響力を有していなかった。また、コントロール変数である「設置形態」「留学生比率」「所在地」「偏差値」も有意でなかった。なお、決定係数のF値は0.1%水準で有意であったことから、モデルはデータに適合していると考えられる。加えて、VIFは全て2.00未満で、多重共線性を巡る懸念もないと思われる21。(表8)「外国人留学生の就職率」の規定要因(重回帰分析)外国人留学生の就職率1.独立変数 ・留学生の就職支援担当者の配置 0.050 ・日本人・留学生の区別なく実施の就職支援施策-0.085 ・留学生限定で実施の就職支援施策 0.280*2.コントロール変数 ・設置形態(私立=0、国公立=1) 0.062 ・日本人学生の就職率 0.494*** ・留学生比率 0.033 ・北海道・東北ダミー 0.161 ・中部ダミー 0.057 ・近畿ダミー 0.099 ・中国・四国ダミー 0.145 ・九州ダミー 0.101 ・偏差値-0.001R2乗値 0.395F値 3.675***(注)数値は標準偏回帰係数。 ***:p<0.001,*:p<0.05。(5)就職活動に「成功」する外国人留学生の「特性」では、「就職活動に成功する外国人留学生」とは、どのような人材であるのかを探ってみよう。ここでは、「就職活動に成功する外国人留学生」を「希望する業種や企業への就職を果たしている留学生及び多くの企業から内定を得ているような留学生(但し、研究室推薦で就職する者は除く)」と定義した上で、「学力・能力」「就職活動への取り組み」「人的ネットワーク」などの観点からその特性を明らかにすることを目指した。具体的には、先行研究での議論や我々のヒアリング調査の20 河合塾グループのゴートゥースクールのウェブサイトを参照した(https://www.52school.com/:2020年3月12日最終アクセス)。学部により偏差値が異なる場合は、最高と最低の平均値を用いた。21 本重回帰分析は、従属変数に関わる信頼性を担保すべく、2018年度の外国人留学生の卒業者・修了者数が10名以上の大学を対象として実施した。
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