多国籍企業研究13号
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9日本の大学で学ぶ外国人留学生の「就職問題」に関する研究      ― 大学のキャリアセンターへのアンケート調査に基づいて ― 古沢 昌之究生は対象外)。従って、「正規の外国人留学生が在籍していない」との返信を受けた大学は有効回答から除外した。本調査のリサーチクエスチョンは次の5点である。①外国人留学生の「就職」に関わる状況(就職率に関する状況、求人を巡る状況など)②外国人留学生への「就職支援体制・施策」(支援担当職員・教員の配置、支援施策など)③ 就職活動に「成功」する外国人留学生の「特性」(学力・能力、就職活動への取り組み、人的ネットワークなど)④ 外国人留学生の就職を巡る「問題点」(留学生本人に関わる事項、大学に関わる事項、企業に関わる事項など)⑤「政府・自治体・公的機関」への「要望」(2)回答大学のプロフィール15回答大学の内訳は、国公立大学が28.1%、私立大学が71.9%であった16。地域別分布(メインキャンパスの所在地)は、北海道・東北=11.4%、関東=28.7%、中部=14.4%、近畿=24.0%、中国・四国=14.4%、九州=7.2%である17。また、大学設立からの平均経過年数は63.7年、平均の学生数(正規学生:日本人学生・外国人留学生及び学部・大学院の双方を含む。以下、同様)は5,336.0人、全学生に占める留学生の比率は単純平均で5.4%(最高値=48.6%)であった。なお、国公立大学の留学生比率が平均で3.0%であったのに対し、私立では6.3%となり、t検定で1%水準の有意差が検出された。(3)外国人留学生の「就職」に関わる状況① 「就職率」に関する状況各大学に昨年度(2018年度)の日本人学生・外国人留学生各々の「就職率」(就職者/就職希望者)を尋ねたところ、単純平均値は日本人学生=96.8%、外国人留学生=81.8%で、両者の間にはt検定で0.1%水準の有意差が認められた(表2:就職率は学部と大学院を合算した数値。以下、同様)。また、外国人留学生の就職率を国公立大学と私立大学で比較したところ、単純平均値は国公立大学=85.1%、私立大学=80.5%であった(表3:t検定による統計的有意差はなし)18。15 本調査の主要変数の相関行列は末尾の付表1をご参照。16 文部科学省の「令和元年度学校基本調査」(2019年公表)によると、私立大学の比率は77.2%となっている。従って、本調査の回答大学は母集団を概ね代表していると考えられる。同調査については、 https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/kekka/k_detail/1419591_00001.htmを参照されたい(2020年3月12日最終アクセス)17 本分析における地域区分(各都道府県の分類)は、先にレビューした日本学生支援機構(2019a)に従った。18 なお、日本人学生・留学生ともに海外の企業等に就職した可能性を排除できないことを付言しておく。我々は本アンケートで、留学生の「日本での就職希望者数」とそのうちの「日本での就職者数」についても回答を求めたが、日本と海外を区別していない大学が多く、欠損値が目立ったため、本文記載のデータを使用することにした次第である。

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