多国籍企業研究13号
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6日本の大学で学ぶ外国人留学生の「就職問題」に関する研究      ― 大学のキャリアセンターへのアンケート調査に基づいて ― 古沢 昌之② 日本での「就職者」及び「就職先」に関する状況出入国在留管理庁(2019)によれば、2018年に「留学」等11の資格を持って在留する外国人が、わが国の企業等への就職を目的として行った在留資格変更許可申請に対する処分数は30,924人で、うち25,942人が許可された(許可率=83.9%)。前年比では処分数で2,998人(10.7%)、許可数で3,523人(15.7%)の増加である。留学生30万人計画がスタートした2008年と比較すると、処分数は2.6倍、許可数は2.3倍となっているが、許可率は9.7ポイント下落している。 2018年の許可者を出身国・地域別で見ると、上位5ヶ国・地域は「中国」(10,886人、前年比5.4%増)、「ベトナム」(5,244人、13.2%増)、「ネパール」(2,934人、44.8%増)、「韓国」(1,575人、5.9%増)、「台湾」(1,065人、31.5%増)で、ラインナップは先に示した留学生の出身国・地域と同様であったが、対前年の伸び率はベトナム、ネパール、台湾の3ヶ国・地域で2桁となっている。構成比は、中国が42.0%を占めてトップであるが、最近5年間で22.4ポイントも下落している。代わってベトナムは4.7%から20.2%へ、ネパールも2.1%から11.3%へと大幅にアップしていることが注目されよう。また、韓国(9.5%→6.1%)のシェアは低下、台湾(4.0%→4.1%)のそれは横ばいである。許可者の最終学歴は「大学」=43.5%、「専修学校」=27.7%、「大学院(修士)」=19.5%、「短期大学」=4.5%、「大学院(博士)」=3.4%、「その他」=1.5%となっている。在留資格変更後の資格は「技術・人文知識・国際業務」が93.2%に及んでおり、圧倒的に多い。他は「経営・管理」「教授」がともに2.2%、「医療」=0.9%、「教育」=0.5%などである。就職先の業種は「非製造業」=81.6%、「製造業」=18.4%である。内訳は非製造業では「コンピュータ関連サービス」(8.3%)と「商業(貿易)」(8.2%)、製造業は「一般機械」(2.8%)と「電機」(2.7%)が各々上位を占めている。職務内容は「翻訳・通訳」が23.6%で最多で、「販売・営業」(13.4%)が続き、以下「海外業務」(9.0%)、「技術開発(情報処理分野)」(6.5%)の順である。企業等の規模を見ると、従業員数では「50人未満」が36.7%で最も多く、これに「50人以上、100人未満」を加えると、全体の半数近く(46.8%)に達する。他方、「1,000人以上」は18.7%に留まる。また、資本金は「500万円以上、1,000万円未満」が最多(18.1%)で、「1,000万円以上、3,000万円未満」が17.5%、「500万円未満」が15.0%となった。「10億円以上」は14.2%にすぎない。就職先の所在地(都道府県)は「東京」が半数近く(46.1%)に及び、次いで「大阪」(10.0%)、「神奈川」(6.2%)、以下「愛知」(4.6%)、「埼玉」(4.0%)、「千葉」(3.8%)となり、関東圏が目立つ。(3)外国人留学生の就職に関わる「問題点」① 低い「就職率」問題点の1つ目は、低い「就職率」(就職者数/就職希望者数)である。ディスコ キャリタスリ11 これには「留学」に加え、「特定活動」(継続就職活動中の者、就職内定者等)の在留資格を有する者も含まれている。

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