多国籍企業研究第11号
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18日系中小製造業のアジアにおける新規販路開拓プロセスの研究 守屋 仁視タータなどを製造するB社にファスナー類の販売を開始した。その後B社のニーズに対応し、塑性加工が難しい発電機やスタータ用電装用パイプの新規加工方法を考案し、自社生産に乗り出した。これが自動車部品の分野の内製事業の中心となっている。またこのころ、A社にシートベルト用ワイヤー加工品も生産開始した。さて、自動車関連部品に関する海外展開の状況はどうであろうか。中国の上海へは、2001年に他事業の工場として進出し、2006年に自動車部品の事業へ業種転換した26。また、2003年にはタイに進出している。当初は販売会社としての進出であり、後に自社での製造も行うようになった。中国はA社、タイはA社とB社の2社が当初の顧客であり、顧客の求めに応じた随伴進出であった。K社は、インドネシアなどにも進出しているが、中国とタイが進出から既に10年以上が経過しておりアジアにおける現地販売金額はこの2拠点が一番大きい。そこでこの2拠点の販路開拓活動について本稿では焦点を合わせる。中国の拠点は、2006年時点の顧客はA社のみであった。現在は、A社向け販売は約80%であり、20%が新規取引先となっている。新規開拓先としては例えば、日系ではB社、外資系では、アメリカのC社やD社にも販路開拓ができている。現地販売に占める内製品の比率は約50%という。タイは、2003年にA社とB社への随伴進出であった。それら2社への販売比率は、現在は約70%ぐらいであり。30%は新規取引先である。例えば、自社の内作技術を生かした発電機(オルタネーター)用パイプ加工品や金属切削部品で、日系のE社に新規販路開拓を実現した。その他の新規取引は、F社、買入れ品ではあるがG社にも供給している。内製比率は低く商社機能が主である。(2)日本との連携体制K社が手がける製品は重要保安部品に相当し、日本と同等の高品質を要求される。ティア1企業の最終発注決定権は日本側にあり、日本本社が受注窓口となるケースが殆どである。理由は、重要保安部品は、世界共通品質基準となっており、顧客であるティア1企業は日本で品質をコントロールしているからである。よって新規のティア1へ営業を行う場合は、日本と現地の両方の品質監査を受けることが必須である。そして最終の品質確認は日本側で行われる。従って、同社の販路開拓活動も日本側が主導的な役割を演じなければならない。同社は、日本と現地の連携体制を整えている。日本では自動車部品事業本部の中に、テクニカルセンター、品質管理部、工場スタッフ、及び15名の国内技術営業が、海外の現地工場と連携して積極的な営業活動を行う体制をとった。日系新規開拓では、日本人が中心になる。タイでも、上海でも現地の日本人責任者が中心になって日本側の自動車部品事業本部と連携し、情報交流を密接に行っている。テレビ会議を利用した会議を週単位で行い、きわめて緊密な連携をとっている。また半期単位では、方針のすり合わせなど26 自動車部品の顧客からK社が扱う部品の現地調達化が強く要請されたため、進出約5年後(2006年)に自動車関連の部品事業へ業種転換を行った。また同じ年に、自動車用部品の販売を行う販売会社を設立している。
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